不動産投資における利回りとは?理想や計算方法も詳しく解説

2025/02/03 13:37公開

不動産投資における利回りとは?理想や計算方法も詳しく解説

「利回りとは何か」

「表面利回りと実質利回りに違いはあるのか?」

などこれから不動産投資をしたい方で、疑問に感じる方も多いでしょう。

利回りでは以下のことを理解することが大切です。

利回りのポイント
  • 表面利回り:投資額に対する1年間で得られる家賃収入のこと
  • 実質利回り:家賃収入から必要経費を差し引いた収益率のこと

不動産投資における利回りは、物件の購入費用に対して年間の家賃収入がどの程度の割合を占めるのかを示し、収益性を測る基準となります。

本記事では、不動産投資における利回りの基本的な概念から、計算方法、相場、最低ライン、投資判断の際の注意点まで詳しく解説します。

これから不動産投資を始める方や、収益物件の選定で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 不動産投資における利回りとは
  • 不動産投資における利回りの相場
  • 不動産投資における利回りの最低ライン
  • 不動産投資における利回りの4つの注意点

不動産投資における利回りとは

「不動産投資における利回りとは、投資した物件がどの程度の収益を生み出すかを示す指標です。

一般的に、年間の賃料収入を物件価格で割ったものが利回りとして算出されます。

これにより、投資の収益性を簡単に比較できるため、多くの投資家が重要視する要素の一つです。

利回りには大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」があります。

表面利回り
(グロス利回り)
物件の購入価格に対して、1年間の家賃収入がどれくらいの割合を占めるかを示す指標
実質利回り
(ネット利回り)
家賃収入から管理費や固定資産税、修繕費などの運用コストを差し引いた「実際に手元に残る利益」を考慮した利回り

表面利回りは単純に賃料収入と物件価格をもとに計算されるのに対し、実質利回りは経費や空室リスクなどを考慮して算出されます。

この違いを正しく理解し、投資判断に活用することが重要です。

表面利回り(グロス利回り)について

表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。

計算がシンプルで、投資物件を比較する際に手軽に活用できます。

ただし、管理費や修繕費、税金などのコストは含まれていないため、実際の収益性を正確に反映しているわけではありません。

表面利回りの計算式は以下の通りです。

表面利回り(%)=(年間賃料収入 ÷ 物件価格)× 100

例えば、1,500万円の物件で年間の賃料収入が120万円の場合、表面利回りは8%となります。

表面利回り =(120万円 ÷ 1,500万円)× 100 = 8%

・物件価格:1,500万円
・年間賃料収入:120万円

表面利回りは物件価格と賃料収入だけを考慮するため、実際の収益とは異なる可能性があります。

より正確な収益性を判断するには、実質利回りも考慮することが重要です。

実質利回り(ネット利回り)について

実質利回りは、賃料収入から管理費や修繕費、税金などの経費を差し引いた後の収益をもとに算出される指標です。

これにより、より現実的な投資判断が可能になります。

実質利回りの計算式は以下の通りです。

実質利回り(%)=(年間賃料収入 - 年間経費)÷ 物件価格 × 100

例えば、先ほどの例で年間の経費が30万円かかる場合、実質利回りは以下のように計算されます。

実質利回り =(120万円 - 30万円)÷ 1,500万円 × 100 = 6%

・物件価格:1,500万円
・年間賃料収入:120万円
・年間経費:30万円

このように、実質利回りを計算することで、実際に手元に残る利益を把握しやすくなります。

不動産投資を成功させるためには、表面利回りだけでなく、実質利回りを重視しましょう。

不動産投資における利回りの相場

利回りの相場は、物件の立地や築年数によって大きく異なります。

特に都市部の新築物件と地方の築古物件では、利回りに大きな差が見られます。

都市部や新築物件では利回りが低く安定性が高い

都市部の新築物件は、利回りが低めに設定される傾向があります。

これは、物件価格が高いため、家賃収入とのバランスが取れにくくなるためです。

例えば、ワンルームマンションでは、表面利回りが東京都で3.9~4.1%程度の物件が多く見られます。

一方で、都市部の物件は賃貸需要が安定しており、空室リスクが低いのが特徴です。

長期的に安定した収益を得たい場合には、都市部の物件を選ぶことをおすすめします。

参考:日本不動産研究所│不動産投資家調査

地方都市や築古物件では利回りが高くリスクも大きい

地方都市や築古物件では、表面利回りが4.8~5.2%以上になることも珍しくありません。

物件価格が比較的安いため、高利回りの物件を見つけやすい傾向にあります。

ただし、築年数が経過した物件は修繕費がかかるリスクがあり、地方の物件は空室リスクが高くなる可能性があります。

高利回りだけに目を向けず、総合的な収益性を考慮することが重要です。

参考:日本不動産研究所│第47回「不動産投資家調査」(2022年10月現在)

不動産投資における利回りの最低ライン

不動産投資において、明確な利回りの最低ラインは決まっていません。

ただし、投資目的や物件の特性によって異なりますが、一般的には表面利回りが5%、実質利回りが3%が相場とされています。

特に、都市部の新築マンションでは利回りが4~5%程度でも、賃貸需要が高く空室リスクが低いため、安定した収益が期待できます。

一方、地方の築古物件では利回りが8~10%以上になるケースもありますが、その分、修繕コストや空室リスクを考慮する必要があります。

投資判断の際は、単に利回りの数字だけを比較するのではなく、実際に手元に残る収益やリスクを考慮することが重要です。

また、投資家自身の資金計画やローン返済計画も考慮しながら、利回りの最低ラインを設定することが求められます。

不動産投資における利回りの4つの注意点

不動産投資における利回りの4つの注意点

利回りは投資判断の重要な指標ですが、数値だけを鵜呑みにするとリスクを見落とす可能性があります。

ここでは、特に注意すべき4つのポイントを解説します。

表面利回りは経費を考慮していない

表面利回りは単純な収益性を示す指標であり、管理費、修繕費、固定資産税、空室リスクなどのコストが含まれていません。

そのため、表面利回りが高く見えても、実際の収益が低い可能性があります。

例えば、利回り5%の物件でも、管理費や修繕費が多くかかれば、実質利回りは2%以下になることもあります。

投資判断の際は、表面利回りだけでなく、実質利回りを計算して収益性を確認することが不可欠です。

特に、築年数が古い物件や管理費の高いマンションでは、実質利回りが大きく下がることがあるため、注意が必要です。

築古物件は修繕費がかさむ可能性がある

築古物件は価格が安く、表面利回りが高くなりやすいですが、修繕費の負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です。

特に、屋根や外壁の補修、設備の交換などの大規模修繕が発生すると、一度に数百万円単位のコストがかかることもあります。

また、築年数が古い物件は管理組合の積立金が不足しているケースも多く、将来的に修繕積立金の値上げがあるかもしれません。

投資前に、建物の修繕履歴や管理組合の財務状況を確認し、将来の修繕リスクを考慮することが重要です。

空室リスクを考慮する必要がある

不動産投資では、空室リスクが発生すると収益がゼロになり、利回りも大きく低下します

特に、地方や人口減少エリアでは、借り手が見つかりにくいこともあり、長期間空室になる可能性があります。

空室リスクを抑えるためには、立地選びが重要です。

駅からの距離や周辺の商業施設、学校・病院の有無などを考慮し、賃貸需要が安定しているエリアを選びましょう。

また、家賃相場をしっかり調査し、競争力のある家賃設定を行うことも大切です。

売却益を考慮して物件の収益性を評価する

不動産投資では、家賃収入だけでなく、将来的な売却益(キャピタルゲイン)も重要な要素となります。

特に、都市部の物件では資産価値が下がりにくいため、長期的な資産運用としての魅力が高いです。

一方で、地方の築古物件は売却が難しく、将来的に価値がゼロになるリスクもあります。

そのため、購入時に出口戦略を考え、売却しやすい物件を選ぶことが重要です。

市場の動向や将来の開発計画なども調査し、資産価値が下がりにくいエリアを選びましょう。

まとめ

不動産投資における利回りは、投資の収益性を判断するための重要な指標です。

しかし、表面利回りと実質利回りの違いを理解し、経費や空室リスクを考慮しなければ、実際の収益が想定よりも低くなる可能性があります。

また、利回りの相場はエリアや物件の種類によって異なり、都市部では安定性が高く利回りが低め、地方では利回りが高くなるもののリスクも大きいという特徴があります。

さらに、利回りを見る際には、修繕費や空室リスク、将来の売却益などを考慮し、総合的な視点で判断することが求められます。

投資の成功には、単なる数字の比較ではなく、市場動向や物件の特性をしっかり分析する力が大切です。

不動産投資を始める際は、これらのポイントを意識しながら、慎重に物件選びを進めましょう。