2025/06/17 14:30えっ!競売3点セットは正しいとは限らない?!
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先日、競売入札代行依頼があった物件のいわゆる3点セットを確認しました。通常、競売入札代行の相談があった場合はまず、入札代行業務を行うプロフェッショナルである不動産業者は該当する登記簿謄本を徴求するなどして、書面において権利関係等のチェックをしてから、物件の現地調査、役場調査等を行います。
今回相談があった競売案件のケースにおいて、現況調査報告書を見る限り、まずは直観的に売却基準価格が低すぎるのではないかと感じました。物件目録を見ると、土地の持ち分共有が1/2ずつであることが記されています。次に3点セットに添付されていない土地の不動産登記簿謄本を法務局より徴求し、確認したところ、先代から相続を受けた親の土地に子供のひとりが家を建築。それと同時にその建築資金と思われる住宅ローンの借入をし、土地建物に抵当権を設定。その後にその親が亡くなり、その土地の所有権が相続により、建物所有者ともう一人の親族が1/2ずつ相続を受けているという歴史をつかむことができました。
そして、最後に不動産鑑定士が作成した評価書を確認。計算式を実際に計算機でチェックしたところ、評価の仕方にミスがあるのではないかと思われる記述がありました。 すぐに、裁判所の競売係に事件番号を伝え、疑義があることを説明。期間入札も近づいているため、すぐに調査しますとの回答を頂きました。
その後、裁判所の書記官から電話があり、ご指摘の疑義の通り、間違っている可能性が高いため、再調査後にご連絡を致しますとのお礼の受電となりました。
実際に間違いがあることが確定した場合、予想される今後の流れとしては、本物件の期間入札は一旦延期され、評価書の修正、それに伴って売却基準価格と買受可能価格が修正された後、入札期日が再設定されるのではないかと思われます。
もし、この間違いが誰にも気づかれないまま入札代行にて競落できたとしても、その後に他の入札者等の第三者が3点セットに間違いがあるということで不服申立てをした場合、売却許可決定が出ない、もしくは無効となってしまうリスクがあります。
今回は、この一連の流れを相談者にお伝えし、しばらくは経過を見ることとなりました。
このことからも、裁判所の執行官・書記官並びに不動産鑑定士が作成する3点セットであっても、絶対に正しいとは限らないという事がわかります。一般の物件と比較してより高度な知識と経験・分析力が求められる競売物件の入札は、不動産競売流通協会に加盟している「競売のプロ」に相談することが正しい選択と言えるでしょう。