東京都在住 8000万円の豪邸を落札して家族でお住まいの山之内さん

地図を片手に訪ねたお屋敷は東京都葛飾区にありました。

敷地は東南西の角地にあり、北に向けて緩やかに登り坂になっています。
南の6m道路に面した打ちっぱなしのコンクリート製地下駐車場は リモコンで開く自動シャッター。
これだけの地下駐車場を作るだけでどれだけかかるのか想像もできません。

東側の正面玄関は鋳物作りの門扉、高さは2m以上、上部は鋭い鏃(やじり)が光っています。
インターホンを押すと、正面玄関のカメラの赤いランプが光りました。

(見てる……)
カメラの向こうに視線を感じました。

私は勇気を振り絞り名前を名乗ると「どうぞ」と声がして門扉の右側がゆっくりと内側に開きました。
どこもかしこも自動なんだと感心しきりの私は広い階段をあがりました。
一段登るごとに視界が左右に開いてゆきます。
南側は手入れのされた芝生が全面に張られていました。
ステンレス製の手すりの下には、パンジーや雑誌でしかお目にかかれない花々が彩っています。

見とれていた私に声を掛けていただいたのはこのお屋敷の奥さまでした。
お歳は後から聞くと、57歳、私の母親よりも3つ歳上なのに肌はぴんと張って皺ひとつありませんでした。

(なんかずるい)
正直、そう思いました。

でも、奥さまと話していると、緊張していた私はすごく和んだんです。
お屋敷の中には暖炉があって、映画の中でしかお目にかかったことがない螺旋階段まで。
もう別世界でした。

(住む世界が違うんだな)
そう思っていたら、奥さまの一言で救われました。

「あなた、頑張ってね。お陰さまでこのおうちに住むことができたの」

お紅茶も美味しかったし、手作りのクッキーも上品で。
なのに、威張っていなくて。

奥さまのお話によると、ご主人は大学の教授、なんだかもう羨ましさもなくなっていました。
でも上の世界の人にもやっぱり悩みがあるんだなって、そう思いました。
ゼミの学生さんを自宅に招く為には大きなお屋敷がないと格好がつかないそうなんです。
このお屋敷を作られたのは建築会社の社長さんらしくて、
とっても豪勢に作っていて、入札人数は法人も入れて41人だったって仰っていました。
二番手の方と36万円の差、もう達人並みの正確さだったって
私のお手柄じゃないのに、とっても感謝されて、お手製のクッキーを持たせてくれました。

「がんばろ」帰りの電車の中で私はそう呟いていました。

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